うつ病になったとき、何よりも本人が驚きます。
うつ病になるような成育歴を送ったわけではない、と焦ったり、
もっと頑張れば治るのではないか、とこじらせたりすることになったりします。
「うつ病は心の風邪」という誤解を招くようなフレーズが世の中に流布されたことで、
うつ病患者は追い込まれて行ってしまったと言えるかもしれません。
そんな当事者にとって一つの光明ともいえる研究結果が発表されました。
東京慈恵会医科大学の近藤一博教授らの研究によって、
多くの人が赤ちゃんのときに感染する
「ヒトヘルペスウイルス6」というウイルスが脳の一部に感染すると、
ウイルスが生涯潜伏感染しているために、
ストレス因子である遺伝子が強く働くことを突き止めました。
「うつ病の原因は、ウイルスが関与している可能性が分かった」と発表したのです。
このことは、
「気合が入ってないんじゃないの?」、
「気持ち次第だよ
」――そう言われつづけてきたうつ病患者にとって救いになるかもしれません。
ヒトヘルペスウイルス6は一度子どもの頃に感染すると、
生涯潜伏感染しているために、
疲れたときに活性化します。
そのために、うつ病を発症していたのです。
うつ病は、気の持ちようだとか、
少し休めば元気になるとか、
これまで大きな誤解にさらされてきました。
ウイルスがうつ病の原因だと分かり、
うつ病のメカニズムが更に解明されることで、
社会からの偏見も変わるかもしれません。