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障害を伝えるコツとは
障害を伝えることは、周囲に理解を求め、円滑な関係を築くために重要なステップです。
しかし、どのように伝えれば良いか悩む方も多いでしょう。
ですから、ここでは障害を伝える際のポイントについて解説します。
自身の障害を理解しよう
まず、自身の障害の種類と特性を理解することが重要です。
具体的な症状や制限、障害による強み・弱み、必要となるサポートなどの点を把握することで、周囲にどのように伝えれば理解を得やすいか、必要なサポートをどのように依頼すれば良いかが明確になります。
次に、自身の障害に対する考えを整理しましょう。
障害をどのように捉えているか、周囲にどのように接してほしいか、障害を隠したいか、オープンにしたいかといったような点を明確にすることで、不安を抱えずに障害を伝えることができます。
さらに障害に関連する制度や支援についても理解しておくと、実際にそれらを利用する際に役立ちます。
障害に対する周囲の理解を促すには
障害に対する周囲の理解を促すには、障害を伝える相手との関係性や理解度に合わせて、伝え方を変えることが大切です。
親しい友人や家族には、詳細な症状や日常生活での困り事などを具体的に伝え、職場や学校などでは、業務や学習に影響を与える範囲を簡潔に伝えるといった具合に相手との関係性に合わせて伝える内容を工夫することで生活しやすい環境が築けます。
障害について説明する際は、専門用語は避け、分かりやすい言葉で説明しましょう。
なぜなら、相手が専門知識を持っているとは限らないからです。
例えば、眼科に通ったこともない人に「視野が10度以内の視覚障害者です」と伝えたとしても、おそらく眼科に通ったこともない人なので視覚障害に関する知識があるとは考えにくく、理解を得られにくいかと思われます。
このように障害のことを伝える相手が都合よく専門知識を持っているとは言えないので、専門用語を使った説明は避けた方がいいでしょう。
また専門用語を避けるだけでなく、障害による日常生活での困りごとなどを具体的に伝えることで、理解が深まります。
それから一方的な説明に終始せず、相手の質問に丁寧に答え、疑問を解消するようにしましょう。
そうすることで障害に関する誤解を解いたり、必要なサポートを伝えられたり相互理解につながります。
その他にも、信頼できる人に、障害に関する書籍やウェブサイト、障害者向けの支援団などの情報を紹介するのも理解を深めてもらううえで有効です。
伝える際の注意点
必要以上に詳細な情報を伝える必要はありません。
必要以上に詳細な情報を伝えたことで、かえって相手を悩ませてしまい、結果、過剰な配慮をしてきたり、逆に何も手助けしなかったりと極端な行動をとらせてしまう可能性があるので、人間関係を考慮したうえで、伝える人、伝えない人、どの程度伝えるかといったことに関して自分なりに基準を持つことをおすすめします。
ただし、相手に理解を強要したり、受け入れを強制したりしないようにしてください。
理解してもらいたい、受け入れてもらいたい気持ちでいっぱいになることもあるかもしれませんが、相手にも理解したり受け入れたりできる許容範囲があります。
その許容範囲は人それぞれですから、理解や受け入れのスピードも人それぞれです。
早い人もいれば、遅い人もいるでしょうし、理解はするけど受け入れられないという人もいるかもしれません。
ですから、理解や受け入れには時間がかかる場合もあることを理解し、周囲の反応に一喜一憂せず、焦らずにコミュニケーションを続けましょう。
それから障害について打ち明ける際は、相手が落ち着いて話せるタイミングと周囲に気を遣う必要がないプライベートな空間を選ぶのが最適です。
友人や家族に障害をカミングアウトするコツ
会社や学校などの公的な場面だけでなく、プライベートな場面でも障害について伝える必要が出てくる場合もあります。
そういった場合、関係が近ければ近いほど伝えにくかったり、伝えても理解を得られなかったりといったことが考えられます。
ですから、ここでは友人と家族に分けて障害について打ち明けるコツをお伝えします。
友人とのコミュニケーションを円滑にする方法
信頼できる友人から少しずつ話していくのがおすすめです。
共通の話題から始め、徐々に障害について触れていくと自然な流れで伝えられるでしょう。
具体的なエピソードや冗談を交えながら話すと、相手も理解や受け入れをしやすくなります。
また、冗談を交えて打ち明けることで重くなり過ぎず、お互いが気軽に障害について話せる雰囲気が作れるかと思います。
それから友人からの質問には、正直に答えるようにしましょう。
家族より近過ぎず、仕事関係の人より遠くない距離にいるのが友人ではないでしょうか。
そんな友人だからこそ、すんなり障害を受け入れ、適度な距離感を保ちながら適切な配慮や手助けをしてくれる可能性があります。
ですから、障害について理解を示してくれる友人の疑問や質問には正直に答えましょう。
そうすることで家族や職場の人にはできない話ができ、一人で悩みやストレスを抱え過ぎなくて済むようになるはずです。
家族との関係性を深めるためのコミュニケーション術
もともと何でも話し合える関係を築けているのなら、家族は伝えやすい相手です。
ですが、それでもコミュニケーションにズレは生じるかと思います。
スポーツやゲームでプレーする人と観戦している人とで見方や受け取り方が違うように障害を抱えている人とその家族とでは障害に対する理解や捉え方が異なるからです。
そういった点を踏まえたうえで、お互いにスムーズなコミュニケーションが取れるように心がけることが大切です。
そのためには、自身が障害について理解を深め、考えを明確にし、丁寧に説明するだけでなく、家族が障害についてどのように理解し、受け止めているかを知ることも欠かせません。
こうした相互理解を焦らずゆっくり続けることでお互いにちょうどいい距離感が見つけ出せるでしょう。
ただ何でも話し合える関係を築けているのならいいのですが、そうでない場合もあるはずです。
そういった場合、理解や受け入れてもらうことさえも難しいでしょう。
とくに見た目では分からない障害だと簡単ではないはずです。
それでも、まずは上で書いたような相互理解を深めるコミュニケーションを試みるのが大切なのですが、どうやっても受け入れてもらえない可能性も十分にあります。
もしそうなったら、割り切ることも必要かと思われます。
これは家族に限らず友人関係にも言えることだと思いますが、どうやっても受け入れてもらえないのであれば、そういうものだと割り切り、関係をどうするか考えるのも必要でしょう。
理解を強要したり、受け入れを強制したりしないのは相手のためでもありますが、自身の心をすり減らさないためでもあるかと思います。
受け入れてもらえそうにもない相手にどうすれば受け入れてもらえるかと思い悩むより割り切ったうえで関係を構築した方が健全ではないでしょうか。
ですから、時には割り切ることも必要だといえるのです。
ただし、家族や友人の多くが理解しようと努力しているはずです。
家族や友人の反応に戸惑うこともあるかもしれませんが、互いの気持ちを尊重しながら、理解を深めていけるように時間をかけてじっくりとコミュニケーションをとってみてください。
就職・転職における障害の伝え方
ある意味、最も障害の伝え方が生活に直結してくるのが就職や転職の場面ではないでしょうか?
実際、障害について応募書類に記載するか、面接で話すかなどは、求人内容や自身の状況に合わせて判断するかと思います。
ですから、伝える、伝えない、どう伝えるかなどが一番の悩みどころでしょう。
では、どのように伝えたら効果的か少し考えてみましょう。
事前に準備しておいた方がいい書類や資料
企業は採用すべきか、配慮できるのかなどのことを判断するために、障害の内容、障害によって制限されること、制限されることへの対処方法といったことを知りたいはずです。
ですから、その答えとなる書類を事前に作成しておくといいでしょう。
おすすめなのが自身の障害についてまとめた説明書です。
障害特性や配慮してほしいことはもちろんですが、通勤手段や業務の進め方など企業が知りたいと思われることを書類にまとめ、応募書類とともに提出すれば企業の理解も得られやすいでしょう。
また可能であれば、必要となる設備や機器の一覧とそれらをそろえるうえで企業が利用できる助成制度についても書類にまとめておくとより効果的かと思われます。
面接での障害の伝え方
書類に記載するのと同じように障害の種類と特性、障害による影響などを具体的に説明しましょう。
それから過去の就労経験やスキル、希望する職種や業務内容についても伝えつつ、企業が求める能力をどのように発揮できるかをアピールすることも重要です。
なぜなら配慮してほしいことやできないことばかりを伝えてしまうと、「採用しても続かないんじゃないか」といった印象を持たれかねないので、そうならないためにも「こうした配慮をしてもらえればこういったことができます」といったアピールが重要となります。
このような具体的な説明やアピールは、企業が適切なサポートを準備するためのヒントになります。
ただし、企業の負担が大きくなるような配慮を求めることは避けましょう。
かといって配慮について伝えなさ過ぎると企業側も困ってしまうので、積極的に企業とのコミュニケーションを図り、相互理解を深めることも大切です。
さいごに
障害を伝えることは勇気が必要なことですが、周囲との信頼関係を築き、より良い生活を送るためには必要なステップです。
自身の障害を理解し、周囲に伝えることで、より生活しやすい環境を作ることができるので、自身の状況に合わせて適切な方法で伝えましょう。
といっても、障害について理解しきれていない、生活の安定を優先したいという方もいるかと思います。
そのような思いのある方は、私どものようなA型事業所をはじめとする障害福祉サービスを提供する事業所を利用してみてはいかがでしょうか。
そこでは障害を持つ当事者だけでなく、サポートしてきた方にも出会えるので、障害について理解を深めたり生活を安定させたりするためのヒントが得られるかもしれませんよ。
私どもメジャーサポートサービス那覇本社では体験や見学、問い合わせなどを随時受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。