バリアフリーな乗り物の種類と特徴
バリアフリーな乗り物は、障害を持つ方や高齢者の移動を安全かつ快適にするために、様々な工夫が施されています。
そのような工夫が施された乗り物の種類や特徴を障害を持つ方や高齢者自身が知っておくと移動をよりスムーズにし、活動範囲を広げることにつながります。
ですから、代表的な乗り物とその特徴について以下にまとめてみました。
バス
路線バスの中には、段差のないノンステップバスや車いす用のスロープやリフトを備えたバスなどがあります。通常のバスとステッカーを貼って区別していたり、利用するのに事前連絡が必要であったりと運営方法はバス会社によって様々です。
ただ、車いすを固定するスペースを設け、そこに車いすを固定したうえで乗車してもらう点は共通しています。
電車・列車
電車や列車には、車いす対応スペースや車いす対応の座席が設けられている車両があります。
車いす対応スペースは、座席がなく常に車いすが置けるスペースが確保されていて、ベビーカーも利用できたりします。一方、車いす対応の座席は、通常2列か3列あるシートの1席を空け、そこに車いすをおけるようにしてあります。
その他にも、視覚障害や聴覚障害がある人に対して扉の開け閉めを音やランプで知らせるといった工夫も施されています。
飛行機
車いすから座席に移動しやすいように通路側のひじ掛けが可動式になっていたり、車いすでスムーズに利用できる化粧室を備えていたりする機体があります。
また、航空会社によってはタイヤを取り外したりして座席として使える車いすを機内移動用として貸し出しています。
加えて、杖や歩行補助具の持ち込み、介助犬の同伴が無料だったりもします。
福祉タクシー
国土交通省から許可を得たタクシー事業者が、車いすやストレッチャーの搬入・搬出をサポートする設備を備えた車両を使い、身体の不自由な方(一時的な病気やケガによるものも含みます)や高齢者の移動を支援するサービスのことです。
通常のタクシーのように路上で手を挙げて乗車することができないため、予約が必須となります。
似たようなものに「介護タクシー」がありますが、こちらは要介護1以上の人が利用でき、料金に介護保険が適用される場合があるものの、利用目的に制限があります。
福祉タクシーは、その逆で料金は通常のタクシーよりも高くなる場合がありますが、利用目的に制限はありません。
ここで紹介した内容は主だったものであり、実際にはもっと細かなルールや条件などがありますので、利用する際には事前にインターネットなどで情報を得たうえで運営会社に問い合わせることをおすすめします。
バリアフリーな乗り物を選ぶポイント
バリアフリーな乗り物を選ぶ際には、主に2つのポイントを意識することが大切です。
1つ目は、『事前に情報収集を行う』です。
バリアフリーな乗り物選びには、事前にその乗り物や駅・空港などの施設に関する情報収集が欠かせません。なぜなら、当然かもしれませんが、そうすることで利用できるか、できないかが分かるからです。
最も分かりやすいのが上でも書いてあるように車いすに関することでしょう。
車いすのまま乗り降りできる設備の有無や乗り物内をスムーズに移動できるかの確認はもちろんですが、使っている車いすが対応しているかの確認も忘れてはいけません。
「車いす対応」としていてもサイズの規定があったり、安全確保の点で利用ができない車いすの種類が指定されてたりするからです。
このように事前に情報取集を行えば、利用できる乗り物が分かり、次にその利用方法や利用できる時間帯などの確認につながり、旅行や通院など移動に関する計画が立てやすくなります。
2つ目は、『実際に試乗してみる』です。
可能であれば、実際に乗り物に乗ってみて、自分の体格や障害の種類に合った乗り物かどうかを確認しましょう。
実際、バス会社や鉄道会社では、新車両を導入する際などにその車両のバリアフリー設備の使い勝手を確認してもらうために障害のある方を招いた試乗会を開催しています。
また、明石市では2024年3月にバリアフリー設備の確認のためではなく、車いす利用者が抱く「乗り降りが上手くできるかなぁ」といったバス利用に対する不安を解消するためのバス乗車体験会が開かれ、乗り降りの練習や車いす利用者とバス事業者との意見交換が行われました。
このように公共の乗り物に試乗できる機会はありますので、お住まいになっている自治体や利用しているバス・電車を運営している会社のホームページなどをチェックしてみてください。
ちなみに、自動車に関しても大手メーカーであれば福祉車両と呼ばれるバリアフリー仕様になっている車種の展示車や試乗車を用意している販売店があり、試乗が可能です。
バリアフリーな乗り物を快適に利用するための工夫
バリアフリー設備が整っていれば移動が快適になるというわけではありません。
バリアフリーな乗り物を快適に利用するためには、障害を持っている人自身が注意や工夫をすることも必要です。
そこで、障害を持っている人自身ができる注意や工夫を3つ挙げてみました。
事前予約や介助の手配
車いす用の座席や介助が必要な場合は、事前に予約しておきましょう。
介助員が必要な場合は、同行者や介助サービスを利用することもできます。
乗り物内での移動や座席の選び方
車いすや杖を使用する場合は、乗り物内での移動や座席の選び方に注意が必要です。
混雑していない車両を選んだり、手すりの近くに座ったりすることで、安全かつ快適に乗車することができます。
乗務員への声掛け
乗車時に、必要なサポートを乗務員に伝えることが大切です。
車いすや補助犬の利用、段差の介助、降車時のサポートなど具体的な要望を伝えましょう。
また、周囲の乗客に車いすや補助犬の存在を軽く声掛けするなどの配慮があると円滑に乗車できます。
万が一、トラブルが発生した場合は、車掌や駅員などに助けを求めましょう。
バリアフリーな乗り物に関する情報収集
多くの交通機関は、バリアフリーな乗り物に関する情報をホームページで公開しており、乗り物や施設の設備情報、乗車方法、運賃情報などを確認することが可能です。
また、インターネットで「バリアフリー 乗り物 情報」といったようなキーワードで検索すると、交通機関以外が提供するバリアフリーな乗り物に関する様々な情報にもアクセスできます。
ただし、インターネット上の情報なので、「最新情報か」、「正確な情報か」という点に注意が必要です。なぜなら、バリアフリーな乗り物の利用を考えて情報収集するはずですから、最新でも正確でもない情報を元に行動してしまうとトラブルを起こすかもしれないからです。
ですから、情報の公開日や掲載日を確認して最新情報か確かめる、複数の情報源を確認してより正確な情報を得るといったことを意識しながら、自身の目的やニーズに合った情報収集をしてみてください。
さいごに
バリアフリーな乗り物は、障害を持つ方の移動を支え、社会参加を促進する重要な役割を果たしていますが、快適に利用するためには、障害を持っている方自身やサポートをする人が事前に情報収集をしたり、利用時に工夫をしたりする必要があります。
ですから、多少手間はかかりますが、バリアフリーの乗り物に限らず施設や制度を利用する際も事前に情報収集をし、得られた情報を元にできる工夫を考える習慣を身につけることをおすすめします。
私どもメジャーサポートサービス那覇本社では体験や見学、問い合わせなどを随時受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。